動物病院

獣医さんて診察の時なに考えてるの?について解説します【たぶんお医者さんも同じ】

アイキャッチ画像(獣医の頭の中を解説)
アイキャッチ画像(獣医の頭の中を解説)

こんにちは!獣医のゆべしです。

この記事では、病気を診断する獣医はどんなことを考えているのか解説します。

でもこれ、獣医さん全員が同じ方法で診察してるの?
太郎
太郎
ゆべし
ゆべし
絶対同じとは言えないけど、基本に忠実で確実な方法だよ。

この方法で診察している獣医さんはウデがいいと言えるね。

この記事を読むことで、あなたは獣医のウデを評価するヒントが得られます。

結論から言えば、頭の中では可能性のある病気を羅列し、消去法で絞っています。

ビジネス用語でMECE(ミーシー)と呼ばれる方法ですね、ちょっとだけ違うけど。

MECEについては長くなるので割愛しますが、興味があればググってみてください。

病気の診断は、ヒントをつなぎ合わせて事件を解決するのにすごく似ています。

見た目は子供の人とか、じっちゃんの孫とかそんな感じ。

それでは、いきましょう!

 

*と思いましたが補足説明です

診察とは:獣医がペットのかかっている病気を決めるために体を調べること

診断とは:獣医が診察をしたうえで、かかっている病気を決めること

来院から診察まで

動物病院の建物

初めて来院する動物病院の場合、まずペットのカルテを作成します。

かかりつけの動物病院の場合は、診察券を提出して診察を待ちます。

カルテに記入する内容

動物種(犬・猫など)

種名(トイプードル、アメリカンショートヘアなど)

名前

年齢

性別

ワクチンの有無

マイクロチップの有無

今までかかった病気(既往歴といいます)

ゆべし
ゆべし
種類や年齢が診断のヒントになるので、できるだけ詳しく記入してカルテを作ります。

初めて病院にかかる場合、これらの情報がわかるようにデータを持っていきましょう。

診察から診断するまでの流れ

診察中のイラスト

診察室に入ってからの流れは以下のようになります。

動物病院によっては順序が違うかもしれませんが、だいたいやることは同じですよ。

1.問診(飼い主さんからお話を聞く)

2.診察

3.必要なら検査(血液検査やレントゲンなど)

4.診断

5.インフォームド・コンセント(病気や治療の詳しい説明)

6.治療・薬の処方

問診

問診は診察の大事な入り口です。

事件にたとえると、目撃者からの「聞き取り」にあたります。

ここで飼い主さんの訴え(主訴といいます)を間違えてしてしまうと、正しい診断にたどり着けません。

たとえば

飼い主さん:震えているようで、食欲もないんです。
太郎
太郎
獣医
獣医
ふんふん、ケイレンかな?発作かな?

でも実際にはケイレンではなくて、本当に震えていただけかもしれません。

これでは診断していく方向がズレてしまいますよね。

そうならないために、デキる獣医は飼い主さんのお話をしっかり聞いていきます

症状によっては飼い主さんが「はっきりとは言えない」ようなあいまいなケースもありますよね。

体がふるえたのかケイレンしたのか・・・よくわからなくて
太郎
太郎

こんな時はさらに詳しく、根掘り葉掘り聞いていきます。

獣医
獣医
どれくらいの時間でした?呼びかけに反応しましたか?

しつこいと思わないでくださいね(笑)大事なことなので。

診察の種類

問診が終わったら、今度は実際にペットの体を調べていきます。

事件で言うと「現場検証」ですね。

診察の種類は以下の4種類が基本です。それぞれ簡単に説明します。

(体重測定)

1.視診(体を見る)

2.触診(体を触る)

3.聴診(心臓や呼吸の音を聞く)

4.打診(体を軽くたたく)

この4種類が基本です。

体重測定は体重の変化や、薬の量を決めるのに必要です。

病気を診断するヒントは、すべてペットの体に隠されています。

なのでデキる獣医は全身をくまなくチェックしていくのです。

なぜなら、一つでも見落とすと診断が変わってしまう可能性があるからです。

⬇こちらの記事でも「デキる獣医」について書いてます。

アイキャッチ画像:獣医が教えるいい動物病院の見つけ方
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検査の必要性

検査は必要ないこともあります。例えば以下の場合です。

検査が必要ないとき

・緊急性がない(症状が軽い)

・すでに診断が出ている

・検査をしても治療法が変わらない

・治療の反応を見てからでもいいと判断した

逆に検査を勧める場合は以下のような時です。

検査を勧めるとき

・重い病気が疑われる

・検査の結果によって治療が変わる

・2つ以上の病気が重なっている可能性が高い

獣医が診察のとき考えていること

診察中のイラスト②

問診と診察が終わると、獣医は頭の中で情報を整理し、組み立てます。

事件のたとえでいくと、「ホシ(犯人)を挙げる」段階ですね。

考え方は病気の羅列からの消去法

集めた情報から、獣医は可能性のある病気をすべて羅列していきます。

例えば10個の病気の可能性が考えられるとしましょう。

その後、年齢や動物の種類(犬ならチワワとか)、ワクチンの有無や既往歴から、可能性のないものを消していきます。

ちょっと分かりにくいですかね。

次で具体例を挙げて見てみましょう。

具体例をあげて解説します

症例)1歳のコーギー(オス)ワクチン接種あり。昨日から下痢をしている。

下痢のような症状は、無数に病気が考えられます。

例えばこんな感じですね。

考えられる病気の一覧

病気を一つひとつ見てもらう必要はないですが、ものすごくたくさんあるなというのはお分かりいただけますよね。

ちなみにこれでも少ないほうです。

この時、どれだけ病気を頭の中で網羅できるかが獣医のウデの見せどころです。

脳内作業なんで、飼い主さんには見えないんですけど。

 

この子は問診と診察から次のことが分かったとします。

「食欲はある」「年齢が若い」「ワクチン接種済」「ウンチの検査で寄生虫がいない」

「タマネギや異物は食べていない」「住む環境も変わっていない」

これらのヒントを当てはめると、残る病気はかなり少なくなります。

考えられる病気の残り

こんな感じで獣医はすべての考えられる病気を挙げ、診察で得られた情報をもとに消去しています。

ちなみに、もしこの子が12歳の高齢だとしたら、かなりの数の病気が残ります。

高齢の場合の病気一覧

高齢の場合なら血液検査やレントゲンなどの検査を考えるべきですね。

良いインフォームド・コンセント

診断がついたら、飼い主さんへの説明が必要です。

病気についての解説や、治療方法の説明をすることを、「インフォームド・コンセント」といいます。

日本語に意訳すると「説明と同意」となりますが、ここで飼い主さんの同意が得られる説明ができるどうかは獣医のウデのひとつです。

獣医
獣医
この子は慢性腎機能不全で糖尿病も合併してますね。治療については定期的な通院とノボリンの自宅注射、それからパイオも疑われるので・・・

こんな説明されても、「あんだって?」と志村けんになりますよね。

でも実際いるんですよ、こういう獣医さん・・・

 

いろんな病院の獣医さんを見てきて、いい説明をされる先生はこんな感じです。

良い説明

・飼い主さん目線で話している

・専門用語を使わず、わかりやすい説明をしている

・治療方法を飼い主さんが選択できる

・実際に病気の載っている本をだしてエビデンス(証拠)を出す

きちんと飼い主さんが納得、同意できる説明をしてくれるかはとても大事です。

やってはいけない診断

残念な診察風景のイラスト

獣医が一番やってはいけない診断方法は、「決めつけ」です。

診察の経験が長くなると、ある程度見ただけで「この症状はこれだな」というアタリがつくようになります。

ですが、このように決めつけた「アタリ」があると問診や診察が雑になり、ほかのヒントに気づかなくなる可能性があります。

上で述べたように、ウデのいい獣医は油断せずに問診も診察もしっかりと行います

もし、あなたがかかった獣医が問診も診察もそこそこに、早めに診断をつけているのであれば、それはもしかしたらヤブかもしれません。

ちなみに、うちの病院ではワクチン接種で来院した健康な子でも、

目や口の中、耳の中の視診、腹部やリンパ節の触診、心音の聴診など、ありとあらゆるところを見ます。

それくらい診察は大事ですし、普段から行うことで獣医のレベルも上がっていきます。

頭の中はフル回転です

悩んでいる人形の写真

よく飼い主さんから聞くのが、「この前行った病院の獣医さんが怖かった」というお話。

獣医は診察中しかめっ面で黙っていることが多いので、もしかしたら飼い主さんから

なんかずっと黙ってるよ・・・
なに?怒ってる?
マジ怖いんだけど・・・
太郎
太郎

こんな風に思われているかもしれません。

ですがそんなとき、ちゃんとした獣医は頭の中で羅列した病気にモレがないか?ほかに可能性のある病気はないか?集中しているだけかもしれません。

 

ABOUT ME
ゆべし
エキゾチックアニマルの治療施設で仕事する獣医、犬猫病院歴10年。獣医歴は14年目。犬の飼い主さんに、おうちでできるケアや治療についての記事を書いています。

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