・歯石ケアの方法がありすぎて分からない
・効果があって簡単な方法を知りたい
こんなお悩みを、獣医師歴14年のゆべしがお答えします。
犬の歯石予防は飼い主さんからよく聞かれるんですけど、「歯石ケアできない!」って人は本当に多いです。
ハードルの高い方法をムリしてやるより、飼い主さんのできる簡単な方法を選びましょう。
飲み水に溶いて飲ませるだけでも、効果のある歯石ケアもあります。
僕の病院でも、「続かないベストよりも続くベターな方法を」と飼い主さんにはお話していますからね。
当記事では、簡単にできる歯石予防のケアの中でも、特に効果のある方法について詳しく解説しています。
最後まで読んでもらえると、ムリなく継続していける歯石ケアの方法が見つかりますよ。
それでは、解説していきますね。
✔目次
犬の歯石予防って必要なの?

犬は口の中がアルカリ性(pH8.0~8.5)の動物です。ちなみに人は中性(pH7.0)。
アルカリ性の環境では、虫歯菌が繁殖しづらいので虫歯にはなりません。
(ごくまれに虫歯の犬もいます)
しかし、犬は虫歯菌以外の雑菌が繁殖しやすく、歯垢(プラーク)と唾液中のカルシウムが雑菌と固まって歯石ができやすい動物。
研究によると、食べ物をたべた5日後には歯石化しているという報告もあります。
歯と歯のスキマが広く、人より歯石がつきやすいので、本当は人以上に歯石予防をした方が良いのです。
歯石が歯肉との間にできると、犬も歯肉炎や歯周炎などの歯周病にかかります。
歯周病にかかると歯が抜けるだけでなく、膿がたまってアゴの骨を溶かしたり、膿が破裂して目の下から膿が出てきたり(根尖膿瘍)と、口以外の問題にもつながりますからね。
犬の歯石予防の方法は?

飼い主さんが自宅でできる、犬の歯石予防の方法は4種類。
上から歯石予防の効果が高い順になっています。
- 歯みがき
- 歯みがきガム
- 飲み水に混ぜる液体タイプ
- 歯石予防スプレーやジェル
当記事は歯みがき以外でもOK!という内容ですが、比較のため歯みがきについても書いています。
予防効果と続けやすさの評価つきで、上の4種類を詳しく解説していきますね。
この商品なら失敗しない!オススメ歯石予防の商品については別記事で紹介しています。
歯石予防や口臭予防に、科学的な根拠とデータのある商品ですので、ぜひチェックしてください。
【獣医師オススメ】犬の歯石予防に、本当に効果のある商品は?(執筆中)
①ベストな犬の歯石予防:歯みがき

歯石予防効果 | ★★★★★ |
続けやすさ | ★☆☆☆☆ |
犬の歯石予防といえばコレ、定番の歯みがき。
犬用の歯みがきペーストもあわせて使えば、効果も倍増しますからね。
歯ブラシで磨くのも、ガーゼなどを使って指で磨くのも歯みがきに含んでいます。
歯みがきのメリット
犬の歯みがきのメリットはこんな感じです。
- コストが安い
- 歯石予防効果が高い
- 歯の状態を確認できる
- しつけの勉強にもなる
歯みがきは、必要なものが歯ブラシやガーゼなので、歯みがきペーストを買ってもコストが安いのが魅力的。
歯石予防にベストな方法ですし、口の中を見ることができるので、歯の状態を飼い主さんが確認できます。
また、歯みがきできるようしつけが必要なので、ポジティブに見ればしつけの勉強にもなりますね。
犬の歯みがきをやってみたい!という高いモチベーションを持つ飼い主さんには、ぜひオススメしたい方法です。
歯みがきのデメリット
一方、犬の歯みがきのデメリットはこちら。
- しつけが必要
- 手間がかかる
犬の歯みがきをする上で、一番のデメリットは「歯みがきをするためのしつけ」ではないでしょうか。
イヤがる犬を押さえつけて歯みがきするのは危険ですし、歯ブラシを見るだけで怖がるようになるかも。
毎日地道にトレーニングして褒めて、歯みがきトレーニングするのが現実的ではない飼い主さんもいるでしょう。
歯みがき自体も時間と手間がかかりますので、続けやすいとは言えないかもです。
②噛ませて歯石予防:歯みがき用ガム(ゴム)

歯石予防効果 | ★★★☆☆ |
続けやすさ | ★★★★☆ |
歯みがきの次に犬の歯石予防効果が高いのが、歯みがきガムです。
ガムを噛むだけで歯垢が取れるので、歯みがきは難しいけど歯石はちゃんと予防したい!という飼い主さんにオススメ。
犬の歯石予防に、手間と費用、効果のバランスが一番良い方法ですよ。
歯みがきガムのメリット
犬の歯みがきガム(ゴム)のメリットは、以下のとおりです。
- 噛むだけなので簡単
- 犬も喜ぶことが多い
- おやつの代わりにもなる
歯みがきガムは噛むだけなので、手がかかりません。
弾力のあるガムやゴムを噛むだけで、歯垢をそぎ落としてくれます。
犬も硬いガムを噛むことでストレス解消になったり、おやつがわりに食べられるので喜ぶことが多いですね。
歯みがきガムのデメリット
歯石予防に優秀な歯みがきガムですが、デメリットもあります。
- 犬が噛まないと意味がない
- 商品によっては効果がない
- 歯みがきよりコストがかかる
犬の性格によっては、ガムを噛まない子もいるかもしれません。
好んで噛んでくれないと意味がないですね。
また、市販の商品の中には、「この素材だと、商品自体が歯垢になるんじゃ?」と思うような材料を使ったものもあります。
なので、デンタル(歯科用)ガムやゴムを選ぶときには、信頼できる商品を探すことが大切です。
それと、歯みがきと比べるとコストがやや高いのが難点ですね。
③1番簡単!飲み水に混ぜる液体タイプ

歯石予防効果 | ★★☆☆☆ |
続けやすさ | ★★★★★ |
犬の歯石予防はしたいけど、時間もお金もかけられないという飼い主さんの声を、代弁したような商品がこちら。
物理的に歯をこすって落とすわけではないので、歯石予防の効果は上記の2つに及びませんが、続けやすさは抜群です。
水で薄めて使うのでコストも安く済みますし、犬がいつもと同じ生活をしながら歯石予防ができる点が素晴らしい。
液体タイプのメリット
液体タイプのメリットは以下のとおりです。
- コストが安い
- 手間がほぼいらない
- 今の生活を変えない
液体タイプの大きなメリットは、手間がいらないこと。
つまり続けやすい。
例えば500mlや1Lのペットボトルにあらかじめ希釈しておけば、水を替える時にペットボトルから直接入れればいいだけです。
また、犬にしつけをしたりする歯みがきと違って、液体タイプは飼い主さんも犬も生活を変えずにできる、唯一の歯石予防なんですよ。
液体タイプのデメリット
継続しやすい液体タイプのデメリットはこんな感じ。
- 歯石予防効果は高くない
- においを気にする犬には不向き
- 水を頻繁に変える時期には手間
液体タイプは、物理的に汚れをそぎ落とすものではないので、どうしても歯石予防の効果は高くありません。
とはいえ、何もしないよりは歯石がつくのをグッと減らしてくれるんですけど。
それに、においを気にする犬の場合は飲まない可能性もあります。
(その場合は、規定より薄めた液体から始めると飲んでくれます)
また、夏場など水が悪くなりやすい季節は、交換の頻度が高くなるのでちょっと手間ですね。
④歯石予防スプレーやジェル

歯石予防効果 | ★☆☆☆☆ |
続けやすさ | ★★☆☆☆ |
犬の口にシュッとひと吹きすることで、歯石予防をすることができる商品ですが・・・
正直、あまりオススメしたくないです。
僕の動物病院には、市販の歯石予防スプレーを使っていて、「効果を感じられなかった」という飼い主さんからの相談が多いので・・・。
飼い主さんが使った商品をお聞きしたり、いろいろな商品の成分を調べた上で、信用できる商品がなかったのもオススメできない理由です。
歯石予防スプレーのメリット
歯石予防スプレーのメリットは以下のとおり。
- お手軽
- 商品によってはコストが安い
スプレーなら犬の口にシュッとひと吹きするだけなので、お手軽に歯石予防ができます。
また、1回の使用が少量で済むので、コストの面でも安く済むことが多いですね。
歯石予防スプレーのデメリット
歯石予防スプレーのデメリットはこちら。
- 口を開けさせる必要がある
- 効果を保証できる商品がない
- というか詐欺っぽい商品が多い
歯石予防スプレーは、歯みがきと同じく犬の口を開ける必要があります。
これって結構大変ですよね。
それに、口を開けたところにスプレーがかかると、警戒して次からイヤがる犬も多いんじゃないかと。
また、一番の問題は効果を保証できるような商品が見つからない点です。
詐欺っぽい商品も多数出ているので、買わない方が良い商品についても解説しています。
ペットグッズはグレーゾーンな商品も多いので注意してください。
買わない方が良い歯石予防商品の記事(執筆中)
歯石予防をしても歯石は付きます

動物病院にいると、飼い主さんに
と言われることがあるんですが、歯石予防をしても歯石はつきます。
僕ら人間も、1日3回の食後に歯みがきをしても歯石はつくので、完全に歯石がつかなくすることは不可能だと思ってください。
犬の歯石予防は意味がない?
と、思う飼い主さんもいるかもしれませんが、歯石予防をするのとしないのでは、1年後に大きな差がつきます。
液体タイプの歯石予防レベルでも、なにもしていない犬と比べると歯石は明らかに少ないですし、歯周病のリスクが減ります。
定期的に歯石を取るから大丈夫?
うちの子は、1~2年に1回は動物病院で歯石を取るから大丈夫!という飼い主さんもいます。
歯石除去をすること自体は良いんですけど、2つデメリットがありますね。
- 麻酔のリスクがある
- 高齢になったら歯石除去ができないかも
若いうちは良いかもですが、歯石を取るための麻酔のリスクはゼロではないですし、高齢になったら麻酔をかけられないことも。
かといって、無麻酔での歯石除去は絶対にオススメしません!
詳しくはこちらの記事をどうぞ。

どんな飼い方であれ、歯石予防はした方が良いケアのひとつ。
犬の簡単な歯石予防方法:まとめ

では、ここまでの話をまとめていきましょう。
- 犬は歯周病が多い
- なので歯石予防はした方が良い
- 歯みがきができなくても歯石予防はできる
- 何もしないより簡単な方法で続けよう
- オススメは歯石予防ガムか液体タイプ
動物病院の診察時に、歯石がついている犬の飼い主さんに
歯周病になりそうなので、歯石予防してみませんか?
とお話しすると、だいたいイヤな顔をされます(笑)
歯石予防=歯みがき、面倒というイメージがあるのかなと思いますが、堅苦しく考えることはありません。
飼い主さんの生活もそれぞれなので、ムリせず、出来ることをお試しでやってみるぐらいの気軽な感じでOK。
ちょっとやってみようかな?と思ったら、なにより信頼できる商品選びが大切なので、変な商品に引っかからないよう気をつけてください。
→獣医師がオススメする歯石予防の商品記事に戻る。
参考になれば幸いです。