やっぱりペットショップ?
犬を飼うのに、どこから飼うかは悩ましいですよね。
本記事では獣医歴14年のゆべしが、どこから犬を飼うべきかという悩みを解決します。
・これから犬を飼う人すべて
犬を飼う方法としては、ペットショップ、ブリーダー、保健所や愛護団体からの保護犬やネット販売などが主な方法ですよね。
それぞれメリットとデメリットがありますが、簡単にまとめると以下のようになります。
- ペットショプ:初めて犬を飼う方、犬種を選びたい方
- ブリーダー :質のいい犬を飼いたい方
- 里親募集 :成犬でもいいという方
飼い主のいない犬を幸せにしたい方 - ネット販売 :オススメしません。
それでは、詳しく見ていきましょう。
✔目次
ペットショップから犬を飼うメリット・デメリット
犬を飼う場合、日本ではいちばん一般的なのがペットショップだと思います。
たくさんの犬がウィンドウの中で遊んだり、すやすや寝ているのを一度は目にしたことがあると思います。
ぺットショップのメリット
1.いろいろな犬種から選ぶことができる
2.直接犬を見て飼える
3.飼いはじめの時にサポートや補償がある
4.犬用品が揃えやすい
5.動物病院が併設されていればケアをうけることもできる
一番のメリットは、1ヶ所でたくさんの種類から犬を選べることでしょう。
飼いたい犬種が決まっていない場合は、一度ペットショップで本物の犬種を見てみることをオススメします。
また、直接犬の姿を見て飼えるのは大きなメリットです。
飼いはじめた時には生活用品も揃えやすいですし、飼い方や飼った後には何をすればいいのかしっかり説明してくれます。
「飼い始めから〇〇日以内に体調が悪くなったら治療費はお店が負担します」といった補償もあったりします。
これも、慣れていない方には嬉しいサービスですよね。
動物病院を併設しているお店も多く、飼ったあとのワクチンやフィラリア予防などを行ってくれることもあります。
さて、そんな良いことづくしのペットショップにもデメリットはあります。
ペットショップから犬を飼うデメリット
1.社会化ができていない犬が多い
2.ブリーダーより価格は高め?
「社会化?なにそれおいしいの?」って人もいると思うので簡単に説明しますね。
犬の社会化とは、「子犬のしつけ」だと思ってください。
小さいころ(生後12週まで)に、犬は親や兄弟と遊んだりケンカをしたりして、関わり方を教わります。
たとえば本気で噛んだら噛み返されたり、ずっと吠えていると怒られたり、「あ、これやっちゃダメなんだな」ということを自然に学んでいくのです。
ここらへんは人と同じですね。
ケンカしたり、物を壊したり、お菓子がほしくてスーパーの床に転がったりすると怒られるのと一緒です。
しかし、ペットショップにいる犬たちは、こういった自然なしつけがされる前に親兄弟から離されます。
人間だったら、どうなると思いますか?
子供の時に親からなにも注意されずに育ったら・・・、問題児になりそうですよね?
犬にも同じことが起こります。
やたら吠える、噛みつく、飼い主さんと離れると不安で物を壊す。
社会化されずに育った犬は、将来的に問題行動を起こしやすくなります。
このデメリットについてはその犬の性格にもよるので、必ず起こるとは言えません。
ただ、そういった可能性があることは知っておいてください。
金額的には、ペットショップの方がブリーダーより高くなりがちですが、そうでない場合もありますので参考程度に。
どちらが高い安いにしろ、犬を飼うお金にすら余裕がないのであれば、飼うのはオススメしません。
お金に関する詳しいことは、こちら↓の記事を参考にしてください。
ブリーダーから犬を飼うメリット・デメリット
ブリーダーとは、子犬を産ませ育てている業者のことです。
1種類の犬種だけを扱うブリーダーもいれば、何種類もペットショップのように扱うブリーダーもいてさまざまです。
ブリーダーから犬を飼うメリット
1.こだわって育てているので、犬の質が高い
2.犬種の性格や特徴をよく知っている
3.社会化ができている可能性がある
4.金額的にペットショップより安い(?)
ブリーダーは、自分の好きな犬種を扱っていることも多く、その犬種のプロともいうべき存在です。
なるべく良質な犬を育てるよう努力されていますので、健康で気質のいい犬を飼うことができます。
将来ドッグショーに出したい!という人はチャンピオン犬の子供を探すこともできるので、飼うなら選択はブリーダーの一択でしょう。
ペットショップでは、お店に来てからの犬しか見ることができませんが、ブリーダーはその犬や親犬のこともよく知っています。
しつけや病気についても、的確なアドバイスをもらえるのではないでしょうか。
さらに、ブリーダーは母犬と子犬を一緒に飼っていることも多いので、先に書いた社会化ができている可能性があります。
犬の社会化は生後12週(約3ヶ月)までと言われています。
母犬や兄弟犬たちと一緒に育った犬なら、人との生活でも問題になる行動は少ないかもしれませんね。
基本的にはペットショップより安い金額で購入できるハズですが、そうでないこともあるのでこれは参考程度にしてください。
ブリーダーから犬を飼うデメリット
1.ほしい犬種のブリーダーが遠方にしかない場合もある
2.アフターケアはブリーダー次第
3.悪徳ブリーダーもいる
飼いたい犬種をこだわって探す場合には、ブリーダーが自宅から遠くにしかない場合もあります。
ネット販売をしていないブリーダーは現地まで出向く必要がありますが、必ず見に行きましょう。
アフターケアについては正直ブリーダー次第なところがあるので、飼った後の相談などにも乗ってくれるのかなど、事前に確認しておきましょう。
そして、ブリーダーも全ての人が情熱を持って質のいい犬を育てているとは限りません。
上に書いたメリットは、そのブリーダーがきちんとしていることが前提のメリットです。
なにより、ブリーダーになるにはなんの資格もいらず、そこには行政の監査も入らないという現実があります。
つまり、どんなブリーダーかというのは、実際に行ってみないと分からないのです。
これが先ほど「ブリーダーまで出向く必要がありますが、必ず見に行きましょう。」と書いた理由です。
悪徳ブリーダーから犬を飼ってしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれるかもしれません。
極端な例では選んだ犬と来た犬が別犬だったという例もあります。
なにより悪徳業者にお金を払うのは誰でもイヤなものです。
大きなトラブルがあれば、犬を飼ったことを後悔することになるかもしれません。
そうならないためにも、飼おうとしている犬がどんな子なのか、どんな環境で生まれ育ったのかは必ず確認してください。
保護犬の里親になるメリット・デメリット
犬を飼う方法はペットショップやブリーダーだけではありません。
動物愛護センターや保護団体が保護している飼い主のいない犬の里親になるという方法もあります。
「ええ〜だって保健所とか殺処分する施設だし、汚い施設で飼われてるのを見たら悲しくなるからイヤだ!」
「保護団体とか見に行ったら断れなくなりそう。」
そう思う人もいるかもしれません。
保護犬を実際に見に行くというのが1つのハードルになるのはよく分かりますし、僕もそうでした。
ところがね、今はそうでもないんですよ。
動物の福祉が認知されるようになり、動物愛護センターもさまざまなケアをしてくれるようになっています。
殺処分ゼロを達成している自治体も増え、ワクチン予防やしつけまで行う施設もあります。
自治体によってそのレベルは違いますが、たとえば横浜の施設を見てみましょう。
広くてキレイな施設で各種予防やトリミング、さらにはしつけまでしています。
例にあげた横浜市についてはこちらのサイト↓で詳しく見ることができますよ。
保護団体については方針もそれぞれですので、一概にオススメできるとは言えないのですが、NPO法人という形をとって運営していることが多いです。
特に「認定NPO法人」といわれる団体は、ある一定の条件をクリアした団体のみが名乗れる優良保護団体です。
認定NPO法人の保護団体であれば、見に行くハードルが少し下がるかもしれませんね。
前置きが長くなってしまいました。
里親制度が気になる方は、まず地元の動物愛護センターや保護団体のホームページを見てみるのはどうでしょうか。
そのうえで、実際に行ってみるかどうかを決めてもいいと思います。
里親になるメリット
1.性格や体格が分かっている
2.年配の方でも飼えることがある
まず里親になるメリットとして、飼うのにお金がかからないことは挙げません。
「犬がタダでもらえる」という意識では里親になってもお互いに幸せにはなれないでしょう。
ワクチンや予防など、飼ってからの方がお金はかかりますからね。
保護犬の場合、地域にもよりますがほとんどが成犬(1歳以上)です。
そのため、その子の性格や体格はすでに決まっていて、その中から自分の好みの子を選ぶことができます。
また、中には中・高齢の犬もいます。
飼い主さんの年齢的に子犬から飼うのは難しくても、中・高齢の犬なら最後まで面倒を見てあげられるかもしれません。
なにより、犬を幸せにすることで自分も幸せになれます。
これはどこから犬を飼ってもそうですが、保護犬の場合は幸せもひとしおですよね!
里親になるデメリット
1.子犬は飼えない
2.犬種は選びにくい
3.好みの子の里親になれるとは限らない
メリットの部分で書いたように、保護犬は成犬がほとんどのことが多いです。
地域にもよりますが、子犬はほとんどいないと思った方がよいでしょう。
また、保護された子の中から選ぶので、ペットショップのように犬種を自由に選ぶことはできません。
そして、「この子いいな、飼いたいな」と思っても、先に希望している人がいると里親になれるとは限りません。
そのあたりは保護施設に里親になる順番や基準を聞いてみるといいでしょう。
これらのメリット・デメリットを知った上で、保護犬を飼うことに興味があるのであれば、ぜひ一度検討してみてくださいね。
ネット販売をオススメしない理由
ペットショップやブリーダーでもネット販売をしているところはありますが、僕は犬のネット販売をオススメしていません。
倫理的に「命を通販で売るなんて〜」というお話ではなく、これにはきちんとした理由があります。
それは
・法律違反である可能性が非常に高い
・パピーミルという悪徳業者が販売している可能性がある
からです。
犬を販売する場合には、販売業者は「業者の事務所で対面販売をする」義務があります。
対面販売とは、業者と飼い主さんが直接会って犬を販売することです。
これは、令和元年6月に改正された動物愛護法に規定されていますが、まだまだこの法律が守られていないことが多いです。
そして、飼い主になる方も知らないことが多いです。
法律を守っていない業者から、あえて犬を飼う必要はありません。
ブリーダーの項目でも書いていますが、実際の犬を見ていないことでトラブルも起こりえます。
また、ネット販売業者はパピーミルという、別名「子犬工場」とも呼ばれる悪質業者だったりします。
パピーミルについては詳しく書きませんが、衝撃的な映像を見る覚悟があれば、検索してみてください。
犬に限らず動物が好きな人にとって、動物をモノのように扱うなど考えられないことですが、それをやるのがパピーミル業者です。
個人的な意見になりますが、このような業者にお金を払うことだけはしてほしくありません。
犬を飼う選択肢はネット販売以外にたくさんあります。
あえてリスクを冒してまで飼う事はないでしょう。
まとめ
以上の内容をまとめると次のようになります。
・ペットショップは便利だけど、社会化ができていない可能性が高い
ので注意。
・ブリーダーは優良ブリーダーも悪徳業者もいるので、実際に見に行く
ことが大事。
優良ブリーダーの場合は質のいい犬を飼うことができる。
・保護犬の場合、飼うまでの制限は多いが犬との生活で感じる幸せは
大きい。
・ネットショップは絶対にオススメしない。
個人的な意見になりますが、僕は優良ブリーダーから飼うことをオススメしています。
飼い主さんにとっては質のよい犬を飼えるメリットがありますし、悪徳業者から飼わないことで将来的にその数を減らしていくことができるからです。
「どこで飼おうかな」という漠然とした悩みがクリアになれば幸いです。