動物病院

犬が骨折した時の症状は?捻挫との違い、手術費用についても解説します

犬の骨折と捻挫の違いアイキャッチ画像
飼い主
飼い主
うちの子が足を痛がってる・・・骨折?捻挫じゃないの?

犬の骨折は、注意していても起こる主なケガの一つです。

犬の骨折と捻挫の見分け方は以下の3点です。(足の場合)

  • 足を地面につくか
  • 腫れが強いか
  • 熱をもっているか

足をまったくつかず、腫れていて熱感があれば骨折と判断していいでしょう。

時間の経過とともに足をつき、回復してくるようなら捻挫の可能性が高いです。

小さな骨折の場合はレントゲンでしか分からないこともあるので、やはり動物病院にかかるのがベストです。

この記事を読んでいただくと、犬の骨折の症状や治療法が分かり、自宅でも愛犬のケアがしっかりできるようになりますよ。

獣医歴14年のゆべしが詳しく解説していきます。

それでは見ていきましょう。

犬が骨折する原因は?

わからない表情の男性の画像

犬が骨折する原因について解説します。
原因を知れば予防もできますよね。

犬の骨折で多い原因は以下のとおりです。

  • 交通事故
  • 飛び降り・落下
  • ドアやケージで挟む
  • 飼い主さんに踏まれる
  • 肥満、過度の運動

犬が骨折する原因をすべて取り除くことはできませんが、日ごろから注意して、痛い思いをさせないようにしてあげてくださいね。

【犬の骨折と捻挫】骨折しやすい犬種

いわゆる超小型犬と呼ばれる、体重2kgに満たない犬種の骨折は多いです。

ティーカップ・プードルに代表される超小型犬は、ソファやイスから飛び降りて骨折るケースが後を絶ちません。

超小型犬は骨が細いために通常の手術などができず、ギプス固定など不確実な治療しか選択できないこともあります。

超小型犬の飼い主さんは、骨折には充分ご注意ください。

こちら↓の記事では体格の小さい犬を飼うリスクを解説しています。

2頭の犬が走る
犬を選ぶときに、注意しなければいけないポイントを1つだけ!特に人気犬種は要注意?この記事では、犬を選ぶ際に注意すべき重要なポイントをお伝えします。そのポイントとは、体格の小さすぎる犬はリスクが大きいということです。遺伝病や外傷のリスクが高いです。...

犬が骨折した時の歩き方や症状は?捻挫との違い

犬が骨折か捻挫で足をあげる画像

犬が骨折した時の症状は、上にも書きましたが以下の3点です。

  • まったく足をつかない
  • 腫れが強い
  • 熱をもっている

足以外の場合は腫れ、熱の2点での判断となります。

逆に、犬の捻挫・打撲の症状は以下のようになります。

  • 足をつくことがある
  • 時間の経過(1~2時間くらい)で回復してくる
  • 腫れはあってもわずか
  • 熱はあまりない

獣医師は経験を積むと、ひと目で骨折かどうか判断がつくようになりますが、飼い主さんの場合は上の症状を参考にしてくださいね。

判断がつかない場合のオススメとして、骨折を疑ってから1時間たっても回復してこない場合には、動物病院を受診しましょう。

ときどき骨折から1週間以上経過してから来院される飼い主さんがいらっしゃいますが、骨折から時間が経つとデメリットしかありません

・靱帯が固まる
・骨折の治りが悪い
・手術の傷も広くなる
・治療費も余計にかかる

ほんとに良いことがないので、骨折を疑ったら早めに受診されると、犬にもお財布にも優しいですよ。

【犬の骨折と捻挫】原因がなく骨折を疑う場合

犬の骨折を疑う場合に、ケガをするような行動をしていないこともあります。
明らかな原因が見当たらず骨折を疑う場合には、以下のようなことが考えられます。

①飼い主さんが原因に気付けなかった

飼い主さんが気付かないところで足を挟んだ、飛び降りていたといったケースもあります。
原因が見当たらない場合でも、一度動物病院にかかって診てもらいましょう。

②肥満の子の場合

体重が重すぎる子の場合、骨に日常的に負担がかかり、疲労骨折を起こすこともあります。

疲労骨折は非常に厄介で、体重を減らさない限り治りも悪く、他の骨が折れる可能性もありますので、過度な肥満には注意しましょう。

③運動が激しすぎて折れてしまった

ドッグランで走り回った後などに起こります。
性格的に元気な子、運動量を必要とする犬種(ジャックラッセル・ボーダーコリーなど)での症例を目にすることがありますね。

なかなか防ぐのが難しい骨折ですが、運動後に足をつかない場合は動物病院へ受診しましょう。

④腫瘍など病的な骨折

特に高齢の子で、明らかなケガや運動などの原因が見当たらない場合は、骨に腫瘍(できもの)ができている可能性があります。

過去、骨肉腫での骨折を2~3例見たことがありますので、こちらも早めの受診をオススメします。

犬が骨折した時の治療法【メリット・デメリット】

骨折して治療された犬の画像

犬が骨折した時の治療法は、外固定(テーピング)か内固定(手術)の2択になります。

どちらの治療法でも、折れた骨が動いてしまうと骨同士はくっつきません。
骨が完全に動かない状況を作るのが治療のキモです。

中途半端な治療が長引くと、どんどん治りが悪くなり、癒合不全という骨がくっつかない最悪の状況になります。

良い治療は高額になることが多いですが、生涯にわたって犬の生活の質に関わるところですので、最適な治療を選択してくださいね。

【犬の骨折治療】外固定法(テーピング法)

外固定法は、ガーゼやテープなどで骨折部位を固定する方法です。

こちら↓の記事では、犬のテーピングを自宅でする場合のやり方を解説しています。

犬の包帯の巻き方アイキャッチ画像
【犬の包帯】うっ血させずにテーピング!包帯の巻き方5つのポイント当記事では、犬の包帯の巻き方を解説しています。巻きやすい商品を選んで記事のとおり巻いてもらえれば失敗はしません。人のケガに応用することもできます。...

副木固定

副木とは、骨が動かないように支える「添え木」のことです。

副木を骨折の横にあて、テーピングでぐるぐる巻きにしていきます。
骨が動きそうな場合はキャスト材と呼ばれる「巻くタイプのギプス」を使用することもあります。

骨折した骨同士が近い、またはほとんどズレていない場合に使われます。
骨同士が遠い場合に使われることはないですね。

強く巻きすぎるとうっ血しますし、ゆるいと治らない、意外に加減の難しい治療でもあります。

特にうっ血があるのに巻き続けると、次は壊死になる(腐ってしまう)ので十分な注意が必要です。

メリット 費用が安い    
デメリット 治療効果は不確実 足くらいしか使えない 意外と巻き加減が難しい

【犬の骨折治療】内固定法(手術法)

手術にもいくつか種類がありますが、ここでは主な3種類を簡単に解説します。

基本的に骨折が治れば、使用している器具は取り除くのが原則です。

ちなみに、骨折した直後は筋肉が腫れあがっていたり、内出血を起こしていたりするので手術はできません。
痛み止めや抗生物質などで、少し腫れや出血を落ち着けてからの手術になることが多いです。

ピンニング法

ピンニング法は、折れた骨同士をキルシュナーピンでくっつける方法です。

キルシュナーピンは金属製の串で、折れた骨の中に入れて骨同士をつなぎます。

ピンニング法を図解した画像

骨折手術の基本で、足の骨折によく使われる方法です。

複雑骨折など骨が細かく折れてしまった場合や、足の骨折以外には使いにくいです。

骨がピンを中心に回ることがあり、治りが悪いケースもありますので、ワイヤーで骨同士を巻くなどして強度を上げていきます。

メリット 手術の中では簡単 費用も安い 麻酔時間も短い
デメリット 回転に弱い 複雑骨折には使えない 足くらいしか使えない

 

創外固定法

創外固定法は、骨に外からピンを刺しくっつける方法です。

創外固定法はピンニング法やプレート法と一緒に使うこともあります。

創外固定法を図解した画像

感染がある骨折にも使え、足の骨折以外にも広く使うことができます。

ピンニング法よりも手術時間が長く、費用がかかるのがデメリットですね。

メリット しっかり固定できる 感染があっても使える 使用範囲が広い
デメリット 手術自体がやや難しい 費用が高め 手術時間も長い

プレート法

プレート法は、金属プレートを骨に密着させ、短いピンを刺す手術法です。

プレート法を図解した画像

金属プレートは自由に曲がるので、どんな曲がり方の骨で密着できます。

プレートも犬の体に害のないチタンで作られているものが多く、大きさも大小たくさんの種類がありますね。

どんな場所でも使えるマルチプレイヤーで、手術後も早くから足を動かせ、治りも早いのが特徴です。

その分、チタン使ってますし診療費がたっかいのが玉にキズ。

メリット しっかり固定できる どこでも使える 治りが早い
デメリット 手術自体がやや難しい 費用が高い!! 手術時間も長い

犬が骨折した時の費用

骨折の治療費を払う手の画像

骨折の費用は、選択した治療法によって変わります
動物病院の診療費もそれぞれ違うので、だいたいの目安としてください。

外固定(テーピング)などの場合、通院ですので順調に治れば1万円~3万円程度に収まるでしょう。

内固定(手術)の場合ですと、入院費や薬代などの諸々を含めてこんな感じ。

ピンニング法:10万~15万円前後

創外固定法:15万~25万円前後

プレート法:15万円~30万円強

上記3種を組み合わせる場合は、動物病院次第といった具合です。

万が一のために、特に骨折しやすい犬種などはペット保険への加入を検討してもいいかもしれませんね。

犬が骨折した時の自宅でのケア

骨折して自宅でエリザベスカラーを装着した犬の画像

犬が骨折した場合、今までの生活とは違って飼い主さんのサポートが必要になります。

僕が飼い主さんにインフォームド・コンセント(説明)する内容は以下のとおりです。

【犬の骨折のケア】薬の内服

痛み止めや抗生物質の服用は必須になります。

だいたいの子はイヤがらずに飲んでくれますが、内服をイヤがる子の場合はおやつに混ぜる、少量の薄めた100%ジュースに粉にして混ぜるなどの工夫が必要になります。

どうしてもイヤがる子の場合は、肉を味付けナシで少し焼いて薬と一緒にあげるのもOKにしています。

もちろん投薬が必要なくなったら肉はナシですが、今までのフードを食べなくなるリスクがあるのであまりオススメはしません。

【犬の骨折のケア】エリザベスカラーの装着

骨折部位や手術後の傷をなめないよう、エリザベスカラーの装着もほぼ必須です。

エリザベスカラーをつけると壁やドアにぶつかったり、フード皿や水皿に口を持っていきづらくなったり、強い衝撃があると外れることもあるので注意してくださいね。

【犬の骨折のケア】ごはんをあげる工夫

骨折した場合は、地面に近いお皿に顔を近づけてごはんを食べる、水を飲むのは辛いです。

お皿を底上げして、食べる高さを上げてあげましょう

底上げするのは段ボール箱でもなんでも構いません。

エリアべスカラーをしている場合でも、高さをあげると楽にフードや水に口をつけられます。

【犬の骨折のケア】ケージレストする

治療をして動けるようになるまでは、とにかく動かないのが基本です。

ケージレストとはケージ内で休むことをいいますが、サークルケージでなくとも犬が落ち着いて休める場は確保しましょう。

骨がくっつき始めたら動いた方が早く治りますが、それまでは動かさないようにしてくださいね。

【犬の骨折のケア】滑りにくい床を作る

床がフローリングの場合、滑って痛みが出たり、骨折が悪化することがあります。

滑らない床を作るのには、お風呂用のウレタンマットやコルクマットが最適ですよ。

床一面に敷き詰めなくても、動く範囲だけ敷いてあげると快適になります。

犬の骨折と捻挫:まとめ

手でまとめの看板を持つ画像

これまでの話をまとめます。

まとめ

・骨折は足をつくか、腫れてるか、熱があるかの3点で判断

・捻挫は時間とともに回復することが多い

・判断がつかない場合は1時間待って動物病院へ受診

・原因が見つからなくても骨折はあり得る

・治療は主治医と相談して最適なものを選ぶ

・自宅でのケアは万全にしましょう

犬の骨折は捻挫との区別がつきにくいです。

「骨折したかもしれない」と、動物病院を受診される飼い主さんは多いですが、ほとんどは捻挫のことが多いですね。

「折れてないですよ」とお話すると、満面の笑みで帰っていかれます。

そんな飼い主さんの一助になればと思い、この記事を書いてみました。

でも、捻挫かな?と思ってもレントゲンを撮るのが一番ということは覚えておいてくださいね。

骨折も捻挫もしないのが一番ですが、もし愛犬が足を痛めたときに参考にしていただければ幸いです。

ABOUT ME
ゆべし
エキゾチックアニマルの治療施設で仕事する獣医、犬猫病院歴10年。獣医歴は14年目。犬の飼い主さんに、おうちでできるケアや治療についての記事を書いています。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です