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犬のてんかん発作の症状や対処法、危険な発作について解説します

てんかんを起こした犬の画像を使ったアイキャッチ
飼い主
飼い主
うちの子が急にケイレンしだして倒れたの!犬にも発作があるの?どうすればいいの?

ゆべし
ゆべし
犬のてんかん発作、飼い主さんにとっては衝撃的ですよね。落ち着いて状況を把握することが大事です

犬のてんかん発作は、1~2%の割合で発生する病気と言われています。

愛犬が突然ケイレンして意識をなくすので、初めて遭遇する飼い主さんには、かなりショックな病気ですよね。

この記事では、これまで50頭以上の症例を見てきたゆべしが、犬のてんかん発作の症状や対処法について解説していきます。

読んでいただけると、命に関わるケースやその対処法も知ることができるので、いざというときには愛犬の命を救うことができるようになりますよ。

それでは、早速見ていきましょう。

犬のてんかん発作とは

てんかん発作をおこしそうな犬の画像

犬のてんかんとは、脳細胞が異常に興奮して意識障害やケイレンを起こす病気です。
昔は憑き物のしわざとされていたほど、体が異常な動きをします。

慢性的な病気ですので、1度起こると繰り返し起こる厄介な病気です。

犬のてんかん発作の原因

犬のてんかん発作は、発作が起こる原因や、異常をおこした脳細胞の範囲などによって、いろいろな種類に分かれます。

初めて見る方は分かりにくいと思いますので、なるべく簡単に解説していきます。

特発性(真性)てんかん発作

検査をしても原因がわからないてんかん発作です。
もともとの脳細胞に異常があることになり、遺伝による可能性があります。

犬はこの特発性てんかん発作がほとんどですね。

*特発性=「原因がわからない」という意味です。

症候性(二次性)てんかん発作

脳炎や脳腫瘍、脳への外傷など、脳の病気が原因でおこるてんかん発作です。

僕は1例だけ見たことがありますが、経験上まれなケースですね。

犬のてんかん発作の種類

ここでの犬のてんかん発作の種類は、「異常をおこす脳細胞の範囲」で分けられています。

部分発作

犬の部分発作とは、脳の一部だけが異常をおこした時におこるてんかん発作です。
そのため、脳が異常をおこした部分に対応する、体の一部が異常をおこします。

たとえば、目に関する脳細胞が異常をおこすと目が見えなかったり、足に関する脳細胞なら右の前足だけがケイレンするといった具合ですね。

あまり劇的な症状をおこさないので、飼い主さんが気付かないことも多いです。

全般発作

犬の全般発作は、脳細胞全体が異常を起こすてんかん発作です。

症状も劇的で、飼い主さんが驚いて動物病院に駆けこむ99%がこの原因。

全般発作のほとんどが、「強直性間代性ケイレン」というケイレンを起こします。

歩き回る、ヨダレをたらす、落ち着かないなどの前触れから、突然倒れて足をピンと伸ばし、ガクガクとケイレンし始めます。
意識はなく、泡を吹いたり失禁したり、脱糞するケースもあります。

多くの飼い主さんが「死んでしまうかと思った」と話すほど、ショッキングな発作がこの強直性間代性けいれんの特徴ですね。

強直性間代性けいれんのてんかん発作は、だいたい30秒~3分ほどで収まりますよ。
ですが、飼い主さんにとっては10分にも20分にも感じられることが多いですね。

その後ゆっくりと元に戻るのですが、回復の早さは犬次第。
すぐに何事もなかったように戻る子もいれば、ぼーっとした状態が長引いたり、そのまま眠ってしまう子もいます。

犬のてんかん発作の見分け方

見分ける意味をもつ卵の画像

犬のてんかん発作は、他の病気と間違うことはないのでしょうか。

犬のてんかん発作を見分けるポイントは2つあります。

①意識があるか
②全身のケイレンを起こしているか

よくてんかん発作に似た病気に、心臓病によるふらつきがあります。

心臓病から来るふらつきの場合は、意識があり、ケイレンがないため判断は簡単ですよ。

てんかん発作では、意識がなくケイレンがあります。

犬のてんかん発作の検査

犬のてんかん発作の検査をする画像

犬のてんかん発作の検査は主に3つあります。

【犬のてんかん発作】血液検査

血液検査は、一般的な動物病院でも検査ができます。

が、こと犬のてんかん発作に関してはあまり役に立たないのが正直なところですね。

上記で述べたとおり、てんかん発作の原因は脳細胞にあり、血液検査では脳の状態を確認することはできません。

症状からてんかん発作以外の病気(腎臓病・肝臓病など)も疑う場合、どっちなのか判断する場合に役立ちます。

【犬のてんかん発作】頭部CT・MRI検査

犬のてんかん発作の原因を、直接調べられる検査です。

犬の脳内を画像で見ることによって、脳炎や脳腫瘍、脳の外傷などがないかを確認することができます。

ただし、大学病院や大きな民間動物病院にしか検査機器がないこと、費用が高い(10万円~)こと、麻酔が必要になるデメリットもあります。

たとえ検査で異常が見つかったとしても、脳外科手術を行える動物病院が限られているという問題が立ちふさがることも。

お金に余裕があり、徹底的に診断と治療を行いたい飼い主さんにはオススメしています。

【犬のてんかん発作】脳波検査

犬のてんかん発作をおこす、異常な脳細胞の興奮を脳波で見つけていく検査です。

人では一般的な検査ですが、犬ではあまり普及していません。

飼い主
飼い主
あれ?あんまり検査役に立たなくない?

ゆべし
ゆべし
おっしゃるとおりです・・・。犬のてんかん発作では、あまり検査は役に立ちません

犬のてんかん発作は特徴的な症状があるため、診断がわりと簡単です。

ただし、てんかん発作以外の神経症状(ぐるぐる歩き回る、常にふらつく、目の焦点があわないなど)がある場合、脳内の他の病気を疑う必要があります。

どこまで検査を行っていくかは、主治医とよくご相談ください。

犬のてんかん発作の治療法

犬のてんかんの薬を持つ獣医の画像

犬のてんかん発作の治療について解説します。

犬のてんかん発作は治療しないこともあります

飼い主
飼い主
えっ、なんで?病気なんでしょ?

確かにてんかん発作は病気ですが、てんかんの薬を始めると一生飲み続けなければなりません

一般的には1か月に1回以上のてんかん発作がある場合、治療を始めます

犬のてんかん発作の治療といっても、治すことはできません。
治療薬は発作の頻度を下げることが目的になります。

【犬のてんかん発作】治療薬

犬のてんかん発作の治療薬で、主に使われるのは以下の3種類です。

・ゾニサミド
・フェノバルビタール
・ジアゼパム

3種類のうち、フェノバルビタールがメインで使われてきましたが、現在は副作用が少ないという理由でゾニサミドが選択されることも増えています。

ジアゼパムは日常的に飲むよりも、てんかん発作が止まらない場合に注射薬として使われることが多いです。

この他、臭化カリウムも使うことがありますが、フェノバルビタールと一緒に使うことが多く、単独で使うことはほとんどないですね。

治療薬を使いはじめた場合、てんかん発作が減ったかの確認と、定期的な血液検査が必要になります。

血液検査では、薬が十分血液に残っているか(効果が出る量か)を確認します。

薬が足りていて、てんかん発作が減れば成功、減らなければ薬を変えるなどの対応ができますよ。

【犬のてんかん発作】薬の副作用

犬のてんかん発作の治療薬には主な2つの副作用があります。

①一時的にふらつく
②肝臓の数値が上がる

ふらつきは、薬が効きすぎることによる副作用です。

一時的にふらつく、立てなくなる症状が出ることがありますが、時間が経つと回復します。

肝臓の数値が上がる場合には、薬の種類を変える、もしくは薬の量を減らすといった対応が必要です。

【犬のてんかん発作】生活上の注意

犬のてんかん発作が見られた場合には、飼い主さんが注意するべきこともあります。

てんかん発作の頻度、時間を記録

犬のてんかん発作は、年々悪化していくことが多いです。

薬でおさえていても、てんかん発作の頻度が上がり、発作時間が長くなるなら、薬を増やしたり変更したりする必要があるかもしれません。

犬のてんかん発作の記録は必ずとっておいてください。

夜間救急を探しておく

犬のてんかん発作は、短時間の発作なら見守るだけで大丈夫です。

しかし、下記に危険なてんかん発作を説明していますが、危険な状態になった時にはすぐに動物病院への受診が必要になります。

夜間救急も調べておきましょう。

薬をやめない

犬のてんかん発作が少なくなると、薬をやめてしまう飼い主さんは結構います。

薬をやめてしまうと、再びてんかん発作が起こった時に、また最初から検査をやり直すこともあります

薬は絶対にやめないでください。

なるべく危険なものを置かない

てんかん発作が起こると、犬は無意識にケイレンを起こすので、体をぶつけてケガをすることがあります。

なるべく床にケガするようなものは置かないようにしましょう。

また、発作中もしくは発作の前兆時には、悪気はなくとも飼い主さんに噛みつくこともまれにあるので、飼い主さんも注意してくださいね。

水遊びは特に注意

水遊び中にてんかん発作を起こすと、溺れる可能性が高いです。

水遊びをするなら、十分注意していつでも助けられる状態にしてください。

犬のてんかん発作の危険な症状

注意マークを持つ獣医師の画像

犬のてんかん発作は、基本的に命に関わりません。

劇的な症状を起こすので飼い主さんはかなり心配をされますが、2~3分の発作が月に数回程度であれば問題ないです。

犬の命に関わる危険な発作は、重責発作と呼ばれる発作です。

通常のてんかん発作と違い、重責発作は長時間にわたって発作が続きます。

重責発作で脳が長時間興奮し続けると、後遺症が残ったり、場合によっては命を落とすことになりかねません。

重責発作が30分を超えると危険な状態になります。

もし、あなたの愛犬がてんかん発作をおこしてから5分以上続く場合は、できる限り早く動物病院へ受診てください。

別のパターンとして、発作を起こしては止まり起こしては止まるを繰り返す、群発発作と呼ばれるものがあります。

群発発作の場合も、10分以上発作を繰り返す場合には受診した方が良いですよ。

犬のてんかん発作の症状や対処法:まとめ

手でまとめの看板を持つ画像

ここまでをまとめます。

まとめ

・てんかん発作の種類はたくさんある

・どこまで検査するかは要相談

・犬のてんかん発作は治療しないこともある

・治療する場合は副作用に注意しながら生涯内服が必要

・重責発作の場合はすぐに動物病院へ受診する

犬のてんかん発作を管理していくうえで、一番大事なのは発作が起こる頻度と、発作時間の確認です。

頻度と時間が分からないと、薬の変更など最適な治療ができないからですね。

飼い主さんはぜひ頻度と時間を確認してください。

犬のてんかん発作は、飼い主さんにとっても愛犬にとっても辛い病気です。

ですが、きちんと治療をすればてんかん発作はおさえられますし、幸せな生活を送ることができます。

僕もこれまでたくさんの犬を治療してきましたが、ほぼ100%の子がてんかん発作をうまくコントロールできています

もし、あなたの愛犬がてんかん発作を起こしてしまったら、信頼できる獣医にご相談くださいね。

ABOUT ME
ゆべし
エキゾチックアニマルの治療施設で仕事する獣医、犬猫病院歴10年。獣医歴は14年目。犬の飼い主さんに、おうちでできるケアや治療についての記事を書いています。

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