車を好きになるいい方法ないの?
犬が車に乗ると震える、そんな悩みを抱えているあなたへ。
犬を車好きにする方法を獣医であるゆべしが解説していきます。
車は楽しいものだと教えてあげれば、意外と簡単に自分から乗ってくれますよ。
車に慣れさせる他にも、酔い止め薬や車内環境を快適にしてあげる工夫があると、もっと好きになってくれます。
獣医歴14年の僕が教えているこの方法で、たくさんの飼い主さんから「車が好きになりました!」と言っていただきました。
この記事を読むと、愛犬とのドライブをストレスなく楽しめるようになりますよ。
それでは、詳しく解説していきます。
なぜ犬は車に乗ると震えるのか

なぜ犬は車に乗ると震えるのか、その原因を見てみましょう。
【犬が車で震える原因】車に慣れていない
人でも犬でも、慣れないものは怖いのは一緒です。
ましてや犬は車がどういったものかも知りません。
エンジン音や振動、車内のニオイなど、すべてが犬にとっては初めてのものです。
いきなり乗せられて、動いた、揺れた、気持ち悪い。
こんな経験をした子は、(一部の陽気な子を除き)基本的に車が嫌いになります。
性格的に弱気な子ほど、この傾向が強いですね。
動いていない車に乗るだけで、緊張して吐いてしまう子もいるほどです。
【犬が車で震える原因】車にイヤな思い出がある
車そのものが怖いのではなく、車に乗った思い出がイヤなパターンです。
- 不安で吠えていたら飼い主さんに怒られた
- 車内で吐いてしまって怒られた
- 車に乗った先の動物病院で注射をされた
- 乗ったら何時間も降りられず、ガマンが必要だった
こんな思い出がフラッシュバックしてイヤがってしまう。
無理もないことかもしれません。
【犬が車で震える原因】車酔いしてしまう
車酔いもメジャーな原因の一つですね。
車酔いの原因は、加速や減速による車の揺れによるものです。
この揺れが、耳の中(内耳)を刺激→自律神経が反応してめまいや震え、気持ち悪さを引き起こします。
飼い主さんの運転がちょっと荒かったり、カーブの多い道を走ったりしていると起こりやすく、犬もバランスを取るのに疲れてきてしまいます。
長時間の運転も酔う原因ですね。
お腹の減り具合でも酔いやすさは変わります。
満腹や空腹だと、いつも以上に車酔いしやすくなりますよ。
犬が車で震えないよう好きになるメリット

愛犬が車を好きになるメリットはたくさんありますが、主な3つのメリットを挙げていきます。
【犬と車】行動範囲が広がる
愛犬との楽しいドライブ、想像しただけでもワクワクしますよね。
お散歩でのお出かけもいいですが、車での外出は行動範囲の広さが段違いです。
海や山に出かけたり、愛犬も入れるちょっとオシャレなカフェで一緒に一息ついたり。
時には高速道路に乗って、遠くへ出かけることもできます。
最近では、犬も一緒にお泊りできる旅館やホテルもありますので、お休みの日に羽を伸ばして温泉、なんていいかもしれません。
徒歩では絶対に味わえない楽しさですね。
【犬と車】飼い主さんのストレスもなくなる
こんな飼い主さんの悩みが消えてなくなります。
愛犬が車嫌いだと、飼い主さんのストレスにもなりますよね。
乗せた後も「怖いかな、吐かないかな・・・」と気がかりになってしまいます。
でもあなたの愛犬が車好きなら、「一緒にお出かけしよっか!」と気兼ねなく言えますし、犬も喜んで車に乗ってくれますよ。
犬を気にすることなく運転に集中できるので、安全性も上がります。
【犬と車】いざという時役に立つ
もしあなたの愛犬が急病にかかった時、一刻も早く動物病院へ連れていく必要があります。
そんな時に車をイヤがっていては到着も遅れます。
それに、イヤな車に乗ると体調がさらに悪化するかもしれません。
普段から車に慣れておけば、救急時にもスムーズに移動ができます。
また、地震や津波などの自然災害時の避難や、一時避難としての車中泊など、防災の面でも車は非常に役に立ちます。
いざとなった時、車に慣れていないと命に関わるかもしれませんよ。
犬が車で震えず車好きに変える方法5選

犬が車に乗ると震える場合、「車に乗ること」自体にストレスを感じています。
停まっている車内でも吐いてしまう子がいるほどですからね。
ですので、「車に乗ると楽しいことが起こるんだよ」と教えてあげましょう。
5つの方法すべてを行う必要はありません。
1つでも試せる方法を試してみてください。
【犬が車で震えるのを治す】まず犬用カーグッズで快適に
犬用カーグッズを使えば、車内での愛犬の快適さがまったく違ってきます。
揺れも少ないので酔うこともなく、居場所ができて安心できます。
万が一の事故の時にも固定されているので、大きなケガを防ぐ役目も果たします。
人気の犬用カー用品をご紹介しますね。
①ドライブボックス
ドライブボックスとは、犬用の座席です。
車のシートは人間用で、犬にとっては安定しません。
車の揺れで、犬が座席の下へ落下してしまうこともあります。
こちらの商品は体が安定しますし、シートから外せばクッションや簡易キャリーバッグにもなる優れもの。
体をしっかり固定していないので事故の時は危険です。くれぐれも安全運転で。
ご自宅や旅行先のホテルや旅館でも使用できますし、防災用品としても使えます。
飛び出し防止のリードフックつきなので、いきなり車外へ出てしまうこともありません。
素材も表面温度を25℃に保つので、オールシーズン使えますね。
これさえあれば、車内がおうちのようにリラックスできる空間に変わりますよ。
ドッグキャリー
おなじみのドッグキャリーですが、この商品はちょっと変わり種。
キャリーというと”檻”というイメージが強いですが、リュック型のキャリーです。
持ち運びはもちろん、シートベルトでしっかり固定できるので車内でも安定します。
メッシュがついているので、換気ができて中の様子も見やすいですし、声掛けもしやすいですね。
欠点としては体重7kgまでの子に限られるところでしょうか。
ポケット収納もあり、防災用品としての汎用性はドライブシートより上ですね。
交通事故の時にも、シートベルトで固定されているので安全性は高いです。
ぱっと見はキャリーに見えず、おしゃれでかわいいので飼い主さんが使いたくなるデザインです。
【犬が車で震えるのを治す】車内に慣れる
最初は停まっている車に乗せ、愛犬の喜ぶことをしてあげます。
特別なことをする必要はありません。車の中で犬と遊べばいいだけです。
大好きなおもちゃで遊んだり、車に乗れたことを褒めておやつをあげたり。
おやつを使う場合は、車内にいる時だけあげてください。
最初は5分くらいを目安にしましょう。
一気に長時間やってしまうと、逆に嫌いになる可能性があります。
途中でもう降りたがっているようなら、その時点で降ろしてあげましょう。
車に乗ると震えて動かないレベルの子は、1分ほど乗せて降ろします。
すぐに褒めながらおやつを車外であげましょう。
少しずつ時間を伸ばして繰り返していくと、車に乗ると良いことがあると印象づけられます。
少しずつ車内で遊ぶ時間を長くして、車への慣れと、車=楽しいという印象を刷り込んでいきます。
【犬が車で震えるのを治す】動く車に慣れる
車内に慣れたら、エンジンをかけ、近くをぐるっと回って帰ってきましょう。
これで”車=イヤなところへ行く、長時間乗る”というイメージを消します。
少しづつ車に乗る時間を伸ばしていくと、どんどん慣れていきます。
ここまでくれば、窓から入る風を顔に受けて、気持ちよさそうにドライブする子になる日も近いですよ!
【犬が車で震えるのを治す】やさしく運転する
急発進や不規則なアクセル、急ブレーキはバランスを取るのに犬が疲れてしまいます。
飼い主さんが一番簡単にできる方法はやさしい運転ですね。
とにかく、やさしく走る。こまめに休む。
これだけです。
人はシートベルトで固定されているのであまり揺れませんが、犬は揺れを直に受けます。
(ケージに入っていない場合)
長時間の運転は犬の負担になりますし、車嫌いの原因になります。
休憩は1~2時間に1回取り、トイレを済ませ水も飲ませてあげましょう。
愛犬のためにも、ご自身のためにも安全運転、こまめな休憩をお願いします。
【犬が車で震えるのを治す】酔い止め薬を使う
車に慣れた子でも、酔ってしまうことはあります。
そんな時は、動物病院で処方される安全で効果の高い酔い止め薬をオススメします。
それはこちらの商品です。
(酔い止め薬を見るために、一度だけ「獣医関係者」を選んでください)
1日1回飲むだけで、長時間の移動の場合はほとんど酔いません。
飲み薬・注射薬の両方がありますので、お近くの動物病院にご相談下さいね。
車で移動する1時間前に使用することで、驚くほど車酔いを防止できますよ!
犬を車に乗せる時の注意点

乗せ方次第では道路交通法違反
運転のお邪魔になってしまう乗せ方は、道路交通法第55条(乗車積載方法)違反となり、罰金が課せられます。
飼い主さんの膝の上にいたり、助手席から運転席へ移動しようとしている子を見かけますが、これらは違反の対象です。
実際に逮捕者も出ています。
なにより飼い主さんも愛犬も命の危険があるので、絶対にやめましょう。
後部座席に座らせる、ペットキャリーに入れるなど、安全な乗り方をさせてください。
車内の気温に注意する
夏場の車内で起こる熱中症は本当に多いです。
エアコンの効いていない車内への閉じ込めは絶対にダメですが、ドッグキャリーの中やラゲッジスペース(荷台)はエアコンが効きにくく、飼い主さんが思うより「かなり暑い」です。
熱中症と聞くと「冷やせば治る」と考える方もいますが、犬の熱中症は死亡する確率が高い危険な病気ですよ。
僕が診察した子で、熱中症で来院し、必死に治療しても亡くなってしまった子は30頭を超えます。
熱中症は「注意すれば予防できる病気」なだけに、飼い主さんの後悔も非常に強いです。
泣き崩れながら、亡くなった愛犬に謝る飼い主さんもいらっしゃいました。
こんな悲劇が起こらないよう、夏場の温度管理にはいつも以上にお気をつけください。
もちろん、冬の寒さ対策もお忘れなく。
逃走防止&名札をつける
車で出かけた先では、迷子になる可能性もあります。
車内からの飛び出しや、他の犬や食べ物への突然のダッシュなど、普段の行動とは違うところも出てくるので注意が必要です。
対策として、ダブルリード(リードを2本つける)と、犬鑑札またはマイクロチップを装着しておきましょう。
ダブルリードはペットホテルでの散歩時にも使われています。
一本を腕に通して絡め、もう一本を持つことで逃走する可能性がグッと減りますよ。
犬鑑札やマイクロチップは犬の名札になります。
飼い主さんの住所がわかるようになっていますので、万が一逃げてしまった時も、帰ってこれる可能性が飛躍的に高まります。
(ただし時間がかかってしまうのが欠点)
首輪やアクセサリに、飼い主さんの名前と携帯電話の番号を書き込んでおく手もあります。
発見されてすぐに連絡が来るので、かなり有効ですよ。
もしホテルや飲食店に一緒に入るのであれば、ワクチン接種の記録も持っておくとトラブル防止になります。
まとめ:愛犬の車嫌いの治し方

車嫌いを治すためのポイントをまとめます。
・停まった車内で遊んで慣れる
・短距離から走って動く車に慣れる
・安全運転を心がける
・車酔いの対策に、酔い止めの薬を使う
・犬用グッズで車内を安全・快適にする
・車内の温度に気をつける
・逃走対策や、名札をつける
車に慣れるまでの最初がちょっと大変ですが、少し慣れるとそこからはあっという間、ということが多いです。
車に慣れるための時間も、愛犬と遊ぶ時間ですから楽しんじゃいましょう。
飼い主さんのストレスも減りますし、行動範囲は増えるしで、車を好きになると良いことしかありません。
最近はペットの防災意識も高まっているので、車にペットキャリーや必要なグッズを置いておけば、災害の時の緊急避難場所になります。
本当に良いことずくめですね。
ぜひ、あなたの愛犬を車好きにして一緒におでかけしちゃいましょう。