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【ソースあり】犬猫の新型コロナウイルス感染症に関する情報まとめ

犬猫の新型コロナウイルスに関する情報のアイキャッチ画像
飼い主
飼い主
香港で犬から新型コロナウイルスが出たって!犬猫も新型コロナウイルスにかかるの!?

ゆべし
ゆべし
落ち着いてください。香港の例は感染とは決まってないし、犬猫がかかる可能性はとても低いですよ!

今世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス(2019-nCoV)ですが、2020年2月26日、香港政府が犬で弱い感染が認められたと発表しました。

これにより中国などではペットに対する過剰反応がおこり、ペットを捨てるなど悲しい情報が入ってきています。

本記事では根拠となる情報源を出し、犬猫への新型コロナウイルスの影響について解説しています。

デマに踊らされず、あなたの愛犬・愛猫を守れる飼い主さんになってくださいね。

注意

本記事の情報は2020年3月10日現在のものです。
今後、時間の経過とともに新たな情報が入ることがありますので、信頼できる最新情報をチェックしてください。

ソース・出典
WSAVAによる新型コロナウイルスと伴侶動物についてのガイドライン
新型コロナウイルスと伴侶動物:WSAVA メンバーへのアドバイス
東京都獣医師会HP
【厚生労働省】新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の具体化に向けた見解
WHO:Coronavirus disease (COVID-19) advice for the public: Myth busters

【ヒト】新型コロナウイルスの感染経路・症状

ウイルス感染しそうな人ごみの画像

まず、簡単に人の新型コロナウイルスについての情報を解説します。

新型コロナウイルス(2019-nCoV)は、ベータコロナウイルスという種類に分類されます。
ベータコロナウイルスには、過去に流行したSARSやMERSも含まれます。

感染経路は咳やくしゃみなどの飛沫感染、または感染している人への接触感染が主で、空気感染はないとされています。
中国はエアロゾル(微粒子による感染)の可能性もあるとしていますが、確かではありません。

症状は無症状~重症、死亡例まで幅広いです。

ほとんどの感染者が無症状または軽傷ですが、症状としては1週間ほどの発熱、咳などの呼吸器症状とだるさを訴える人が多いです。

高齢者やもともと病気を抱えている方は、肺炎など重症化する可能性が高いようですね。

診断はPCR法という遺伝子検査を行って、陽性か陰性かを調べます。

【犬猫】既存のコロナウイルス感染症の症状や特徴

犬と猫がリビングでくつろぐ画像

次に、今回の新型コロナウイルス(2019-nCoV)ではなく、もともと犬猫がかかる既存のコロナウイルスについて解説します。

新型についての情報がいち早く欲しい方は読み飛ばしてください。

犬猫のかかる既存のコロナウイルスは、アルファコロナウイルスという種類に分類されます。

【新型ではなく既存】犬のコロナウイルス感染症

主に子犬で下痢や嘔吐、食欲がないなどの症状を出す病気です。
子犬が感染すると、場合によっては命に関わります。

成犬では症状が出ないことが多いですね。

6種以上の混合ワクチンを打つと、犬のコロナウイルス感染症を予防することができますよ。

【新型ではなく既存】猫のコロナウイルス感染症

猫のコロナウイルス感染症は、2種類に分かれます。

①猫の腸コロナウイルス感染症(FcoV)
②猫伝染性腹膜炎(FIP)

猫の腸コロナウイルスは症状がないこともある、弱い病気です。

しかし、猫の腸コロナウイルスが突然変異を起こすと、猫伝染性腹膜炎という命に関わる重い病気に変わります

猫伝染性腹膜炎には、ドライタイプ、ウェットタイプという2種の型に分かれますが、どちらも治療法はありません。

【犬猫】既存のコロナウイルス感染症は人に移るのか

犬猫の既存のコロナウイルスは、人には感染しません

もともとコロナウイルスの属(アルファかベータか)が違ううえに、コロナウイルス自体が宿主特異性が強いウイルスだからです。

宿主特異性とは、「ウイルスがどんな生き物に感染するか」という傾向です。
宿主特異性が強いウイルスは、特定の生き物にしか感染しません。
逆に宿主特異性が弱いウイルスはどんな生き物にでも感染します。

犬の混合ワクチンで新型コロナウイルスは予防できる?

犬では既存のコロナウイルスに対するワクチンがあるため、新型も予防できると思われるかもしれませんが、予防できません

以下にWASVAのガイドラインを一部抜粋します。

指針では獣医師に向けて、一部の地域で販売されている犬で消化器症状を起こすコロナウイルスに対するワクチンを使用することで、新型コロナウイルスへの何らかの防禦を期待する動きに対して警鐘を鳴らしている
こうした使用法にエビデンスはない。
なぜなら新型コロナウイルスは型が明確に異なるからである。

出典:WSAVA による新型コロナウイルスと伴侶動物についてのガイドライン

WSAVAの情報のように、既存のワクチンでは新型コロナウイルス感染症は予防できません。

新型コロナウイルス感染症は犬猫にかかるのか?

犬と猫の画像

現在の状況での判断ですが、日本では犬猫が新型コロナウイルスにかかる可能性は低いとされています。

以下、公益社団法人東京都獣医師会による見解を一部抜粋します。

香港での PCR 検査で、低いレベルの新型コロナウイルスが犬から検出された報道について

■新型コロナウイルスの犬や猫への感染の可能性について

2 月 28 日付、香港 漁農自然護理署(Agriculture, Fisheries and ConservationDepartment)によると、ペットの犬から新型コロナウイルスが PCR 検査で低いレベルの陽性反応がみられた旨の報道がありましたが、下記の理由から日本のペットにおける新型コロナウイルスの感染は、現時点において問題とならないと判断します。

1.現時点の漁農自然護理署 (AFCD)の発表では、犬の鼻と口の粘膜にたまたま付着した新型コロナウイルスを検出してしまった可能性があり、犬の体内で本ウイルスが増殖したかどうかは確定していません
(犬が感染したことを確認したわけではありません)。

出典:東京都獣医師会HP 香港での PCR 検査で、低いレベルの新型コロナウイルスが犬から検出された報道について

*3月10日追記

犬への新型コロナウイルス感染について、東京都獣医師会が新たな見解を発表しました。
3月4日に香港当局が犬への新型コロナウイルス感染を確認したとの発表を受けての回答です。

飼い主の皆様へ
【香港当局による、ペットの犬が新型コロナウイルス感染症に感染したとの報道について】

3月4日付け、香港漁農自然護理局(AFCD)の発表を受けまして、本会としては以下の様に考えていることをお伝えします。
本会では、香港当局が、COVID-19感染者が飼育していた犬が同ウイルスに弱いレベルで感染し、 その飼育犬は無症状であると発表したことを把握しています。

AFCDは、その飼育犬にCOVID-19ウイルスに対する陽性反応が出た原因はヒト(飼い主)である可能性が高いと報告しています。
AFCDは、犬の体内でウイルスが増殖するかどうか、増殖した場合犬同士で感染するかどうか、現時点では報告していませんし、確認事例は本症例1例のみにとどまっています。

AFCDは、現時点ではペットがCOVID-19ウイルスを人に感染させる証拠はないと報告しています。
したがって、人々がペットを放棄しないように強調しています。

本会は、その飼育犬が本当に感染したのかどうかも含め、今後の発表および厚生労働省の対応を待ちたいと考えています。
本会としては、引きつづき飼育者が感染しない注意が最も重要と考えています。
飼育者の皆様におかれましては、引きつづき冷静な対応をお願い致します。

本件に関しては新しい情報が届きましたら随時更新します。
出典:東京都獣医師会HP 香港当局による、ペットの犬が新型コロナウイルス感染症に感染したとの報道について

まだはっきりとした結果は出ていませんが、事例が1例のみであり、犬から犬へ、もしくは犬から人への新型コロナウイルス感染は確認されていません。

焦らず、飼い主さんが新型コロナウイルスに感染しないようご注意ください。

*追記ここまで

飼い主
飼い主
でも発生源の武漢では動物(の肉)から発生したって言われてるじゃない?不安が残るわ

このような不安へも、WSAVAが回答しています。

中国やそのほかの地域で日々新しい症例が報告されていて、流行の発生源は明確ではないものの、武漢にある海産品と生きた動物が取引される「ウェットマーケット」の武漢華南海鮮卸売市場との関連性が指摘されている。
現在ではウイルスのレゼルボアとして特定の動物になるという証拠がないため、さらなる調査が行われている。

出典:WSAVA 新型コロナウイルスと伴侶動物:WSAVA メンバーへのアドバイス

*レゼルボア:ウイルスが定着して新たに感染する元となるもの

絶対的な断定はできませんが、動物がウイルスにかかり、人へ感染する元となる科学的な根拠は見つかっていません。

【犬猫】新型コロナウイルスの検査はできる?

飼い主さんの中には、愛犬や愛猫が新型コロナウイルスにかかっているか、検査したい方もいるかもしれませんね。

ですが、現在は検査する方法はありません
国内で犬猫の新型コロナウイルスを検査した、という情報も入っていません。

【犬猫】新型コロナウイルスへの注意点

マスクをしたヨークシャーテリアの画像

新型コロナウイルスに飼い主さんがかかった場合

現在の状況では、犬猫が新型コロナウイルスにかかる可能性よりも、飼い主さんがかかる可能性の方がずっと高いです。

飼い主さんが万が一新型コロナウイルスに感染した場合の対応は、東京都獣医師会HPに記載されていますので、一部抜粋します。

Q3.私は新型コロナウイルスに感染しました。ペット(犬猫)とどう接すればいいですか?

A.あなたが病院等、隔離された場所に行かなければならない場合には、安心してペットのお世話を頼める人に預けましょう。
あなたとペットが室内で一緒に生活していたのであれば、患者であるあなたが暮らしていた部屋にペットを残し、お世話に通ってもらう方法は、感染対策上お勧めできません。
ペットを預ける場合、念のために、被毛を洗浄するか、またはペットと接する際にはマスクやグローブをつけてもらい、お世話をした後は、丁寧な手洗いを励行するようにお伝えください。

出典:東京都獣医師会HP 飼い主さんに向けて(新型コロナウイルスQ&A)

飼い主さんが感染した場合、あなたのペットが置き去りにされないよう、万が一の時の預け先を確保しておくことが大切です。

とはいえ、なかなか難しいかもしれません。

【犬猫】新型コロナウイルスに関する1次情報の確認を!

香港での犬への新型コロナウイルス感染という情報を受けて、中国ではペットの放棄がされているとの情報があります。

不確定な情報によって、不幸なペットが増えるのは本当に悲しいことです。

本記事は信頼できる1次情報源を記載していますが、ネットでは情報をかく乱するフェイクニュースが流れる可能性もあります。

デマやフェイクニュースに踊らされず、確かな情報(1次情報)を受け取るようにしてくださいね。

まとめ:新型コロナウイルスは飼い主さんの予防が大切

手でまとめの看板を持つ画像

ここまでの内容をまとめます。

まとめ

・現状ではコロナウイルスが犬猫にかかる可能性は低い

・犬の混合ワクチンでは新型コロナウイルスは防げない

・犬猫での新型コロナウイルス検査は望めない

・ペットよりも飼い主さんが感染しないことが大切

・デマにかからないよう信頼できる情報を仕入れる

繰り返しになりますが、現在は犬猫より飼い主さんの方がコロナウイルス感染症にかかる可能性が高いです。

北海道では緊急事態宣言が発令されましたが、北海道以外の地域でも不要な外出を控え、人ごみを避けるといった対策が必要です。

飼い主さんが感染すると、「新型コロナウイルスに感染した飼い主のペット」を預かってくれる人を実際に探すのは難しいでしょう。

あなたの愛犬や愛猫が生活に困らないよう、まずはあなたの体を第一に考えて、できる限りの感染予防に努めてくださいね。

この記事が日本全国の飼い主さんの一助になれば、本当に幸いです。

ABOUT ME
ゆべし
エキゾチックアニマルの治療施設で仕事する獣医、犬猫病院歴10年。獣医歴は14年目。犬の飼い主さんに、おうちでできるケアや治療についての記事を書いています。

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