ケガなどの理由で、自宅で犬に包帯を巻くことって時々ありますよね。
自宅で包帯を巻くと、うまく巻けずにヤキモキしたこともあるかもしれません。
それに巻いてもすぐ取られたり、ずれてしまったりすることもあります。
包帯を巻く時のポイントはこの5つです。
- 2人で巻くこと
- 巻きやすいテープを選ぶこと
- エリザベスカラーも使うこと
- 太い方から細い方へ巻くこと
- うっ血をさせないこと
この記事を読んでいただければ、わずらわしい包帯もうまく巻けるようになり、さらにうっ血(血が止まること)も防ぐことができます。
包帯用のテープを常備しておくと、災害時などにケガの手当てもできて、ガレキを歩く時の犬用靴下も作れますよ。
ここだけの話、人にも応用できるので知っておいて損はないです。
獣医歴14年のゆべしが、飼い主さんに教えてきた経験をふまえて、あなたにマンツーマンで包帯法をお教えします。
それでは見ていきましょう。
自宅でケガを治す基本の方法は、こちら↓の記事にまとめてあります。
処置をする前に包帯を巻くと悪化することもあるので、先にポイントを押さえた方が効率的です。

✔目次
犬に包帯を巻くのはどんな時?

犬に包帯を巻くのは、ケガや手術の傷を隠すとき、皮膚の炎症を抑えるときなどです。
骨折した場合には、副木を当てて骨を固定する目的で巻くこともあります。
特に飼い主さんが来院する時間がない時や、毎日の再診費用の支払いが難しい時などは、自宅で包帯を巻くことになります。
動物病院にかかる前に、応急処置として巻く場合もありますね。
なにかの原因で出血した場合にも使えます。
とはいえ、触ると飼い主さんを噛んでしまうような子は包帯を巻けないので、普段からしつけをして触れるようにしておきましょう。
犬の包帯の取れない・ずれない上手な巻き方

さて、ここからが本題です。
5つのポイントに分けてうまく包帯を巻いていく方法を解説します。
【犬の包帯】2人で巻くこと
犬の包帯は、どうがんばっても一人では巻けません。
相当おとなしい子でない限り、獣医でもムリです。
1人だしムリだよ!っていう方は他の4つのポイントを意識するか、動物病院へGOしかないかもです・・・。
1人が犬をおさえて(保定といいます)、一人が包帯を巻いていくようにしないと、巻けてもズレていたり、すぐ取れてしまったりします。
床では保定する人も大変で巻きにくいので、机やタンスなどある程度高さがある場所で行うと巻きやすいですよ。
足を巻く場合は、足をしっかり前に伸ばして巻きましょう。
体を巻く場合は、できるだけ動かないよう、しっかりおさえてあげてください。
【犬の包帯】巻きやすいテープを選ぶ
犬の包帯、と書いていますが、実は獣医はいわゆる「布包帯」はあまり使いません。
粘着力のない布包帯で巻くと、毛もあるのでだいたい外れますね。
基本のテーピングは、ドレッシング材+粘着テープ+自着性包帯の3種類を重ねて巻きます。
【犬の包帯】ドレッシング材
傷口を保湿し、治りを早めるためのものです。
傷口や炎症に、テープがくっつかないように保護するためのものでもあります。
こちらのメロリンは動物病院でも使われるほど高機能なスグレモノです。
獣医大学病院の外科診療でも使われているのを見たことがありますし、僕も愛用しています。
薄くて丈夫、通気性も良いのに保湿できて治りをメチャクチャ早めてくれます。
もしくっついても水で濡らすとすぐ取れますし。
これほど価格と質が良い商品は他にありません。
こういったふわふわしたコットン素材は、傷口にくっついて取れなくなるのでオススメしないですね。
【犬の包帯】粘着テープ
ガーゼを体にくっつけるためのものです。
粘着テープには紙テープと布テープの2種類がありますよ。
・紙テープ:伸び縮みせずしっかり固定
・布テープ:伸び縮みしてゆるめに固定
用途に合わせて使い分けるんですが、飼い主さんには布テープをオススメします。
なぜなら、後述する「うっ血」を起こしにくいから。
うっ血を起こすくらいなら、まだテープが取れてしまった方がいいです。
布テープでもちゃんと巻ければ取れることもないので。
こちらのシルキーテックスは、僕も愛用している粘着性テープです。
色んな太さがありますが、2.5cm幅(3号)が1番使い勝手がいいですね。
伸縮力があり、ちゃんと巻けるのに粘着力が強力すぎないところがすごく使いやすい。
外すときもベタベタしないので、楽に取れます。
*骨折の場合:しっかり骨を固定したいので、こちらは紙テープを使用します。
骨折かどうか判断する方法はこちら↓の記事をどうぞ。

【犬の包帯】自着性包帯
自着性包帯とは、「体にはくっつかないけど、自着性包帯同士がくっつく包帯」のことです。
伸び縮みするうえに、体にくっつかずしっかり巻ける便利な包帯です。
幅が5cmのものしかないので、必要に応じてハサミで切りましょう。
注意点として、べトラップは巻いてからやや締まる性質があるので、あんまり強く巻かないでくださいね。
気持ちゆるいかな?ぐらいでOKです。(説明しづらく主観的で申し訳ないです)
ガーゼの上に粘着テープを巻いて体にくっつけ、最後に自着性包帯でしっかり保護&巻きを補強という3重構造のできあがりです。
ちなみにこの3つがあると、大きい地震などの時に、ガレキの上を歩くための犬用靴下も作ることができます。
さらに人のケガの場合にも同じように巻いて治療することができます。
僕は絆創膏より大きなケガをしたら自分で巻いてますからね。
【犬の包帯】うっ血をさせないように巻く
うっ血とは、包帯を強く巻きすぎて、巻いた部分に血が流れなくなることです。
うっ血が起こると、巻いた部分の近く(足なら足先)がパンパンに腫れたり、紫色になったりします。
うっ血が続くと、組織が酸素不足で死んで(腐って)しまう恐ろしい事態に!
酸素不足で組織が死ぬことを壊死(えし)と呼びます。
せっかく傷を治そうとしたのに、壊死してしまっては本末転倒ですよね。
うっ血させない巻き方のポイントはこの3つです。
・シンプルに巻くこと
・締めすぎないように巻くこと
・うっ血が分かるように一部は巻かずに残す
シンプルに巻くとは、あまり複雑な巻き方をしないことです。
複雑な巻き方は、それだけ締まりやすくゆるみやすいので、単純にクルクル巻くのが一番です。
強く巻きすぎないのはお分かりいただけますよね。
うっ血の確認のために、例えば前足なら足先は出しておくようにしましょう。
逆に足先を巻く場合は、巻いた上にうっ血が出るので、あまり上まで全部巻かないようにしてください。
【犬の包帯】太い方から細い方へ巻く
では、実際の巻き方について解説します。
巻き方には本当にいろいろな方法がありますが、飼い主さんには太い方から細い方へ巻く方法をオススメしています。
理由は以下のとおりです。
巻き始めの部分が1番締まる
→細いところから巻くとうっ血しやすい
→太い方から巻くとうっ血しにくい
しかし、太い方から巻くのはやりにくい!という飼い主さんもいます。
その場合は細い方から巻いて最初のひと巻きをゆるめにしてくださいね。
【犬の包帯】エリザベスカラーも装着する
いくら飼い主さんがうまく巻けても、犬の口が包帯に届けば取られてしまいます。
傷が治るまでは、エリザベスカラーを装着した方が安心です。
番外編:出血時の包帯の巻き方
ボタボタとたれるような出血は、動物病院に行く前に応急処置が必要です。
出血の場合、通常の包帯とは違い止血が目的ですので、きつく巻きましょう。
すぐに動物病院にかかるなら、巻き方もこだわらなくて大丈夫です。
適当でいいので、きつく巻いてとにかく出血を少しでも止めましょう。
その後できる限り早く受診してください。
犬の包帯を巻いたらチェックすること

犬の包帯を巻いたら、きちんと動けるかチェックしましょう。
包帯は意外と犬の動きを制限しますし、巻き方によってはうまく歩けないこともあるので。
きつい巻き方だと、巻いてから1時間でうっ血が見られることがあります。
うっ血がみられたら、すぐに包帯を外して解放してあげましょう。
腫れが引くまでは巻かない、またはかなりゆるめに巻いて圧迫しないようにしてください。
やってはいけない犬の包帯の巻き方

【犬の包帯】複雑な巻き方・巻きづらい位置で包帯を巻く
飼い主さんが包帯を巻く場合は、巻きやすい部分だけにするべきです。
おしりや股に近い部分の包帯は、排泄物で汚れて感染を起こす可能性があります。
関節を固定したりする包帯は、ヘタすると関節が固まり、足が動かなくなったりすることもありますよ。
複雑な巻き方や、巻きにくい部位は獣医さんにやってもらいましょう。
自宅で包帯を巻かなければならない場合は、診察時に獣医さんに手ほどきを受けた方がいいですね。
✔犬の包帯を巻いていると、テーピングかぶれになることもあります。
かぶれた場合の治し方はこちら↓の記事を参考にどうぞ。

【犬の包帯】包帯を巻きっぱなしにする
包帯を巻きっぱなしにするのが獣医としては一番怖いです。
うっ血を起こして壊死した組織が、汚れた包帯で感染を起こすと・・・。
どうなるかは、なんとなく想像できますよね。
包帯も汚れていくので、できれば毎日交換、少なくとも3日に1回は交換しましょう。
まとめ:犬の包帯は巻き慣れることが大切です

ここまでの話をまとめます。
・犬の包帯は2人で使いやすいテープで巻く
・太い方から細い方へうっ血させないように巻く
・包帯を取られないようエリザベスカラーも使う
・包帯を巻いたら動きとうっ血をチェック!
・複雑な包帯の巻き方や、巻きっぱなしはNG
犬の包帯の巻き方について解説しましたが、実践に勝るものはありません。
僕も知識として巻き方は知っていましたが、最初のころはうまくできませんでした。
時間に余裕があれば、健康なうちに2~3回試しに巻いてみることをオススメします。
この記事では犬用の包帯法で解説していますが、人にも同じやり方で巻けるので、できるようになっておくと超絶便利な技術ですよ。
いざとなった時、「あれ?どうするんだっけ?」「包帯買ってなかった!」とならないように準備しておいてくださいね。
参考になれば幸いです。